映画ちいかわ 人魚の島のひみつ (2026):映画短評

2026年7月24日公開 99分

映画ちいかわ 人魚の島のひみつ
(C) ナガノ/2026「映画ちいかわ」製作委員会

ライター3人の平均評価: ★★★★★ ★★★★★ 4

斉藤 博昭

適度なブラックさ。永遠と闇への畏れを寓話的に

斉藤 博昭 評価: ★★★★★ ★★★★★

トラウマやお通夜になるほどの後味ではない。ストーリーとしては自然な流れで当然の帰結とも。
ある程度、年齢および経験を重ねた人にとっては、中盤からラストの展開に、どこか残りの人生をシンクロさせやすく、多かれ少なかれ恐怖と不安にかられる可能性も。「いつまでも絶えることなく」はアリか。「生きる」とは、どんな意味を持つのかと…。近い感覚では、人間と異なる時間を生きさせられるフランケンシュタインなどの悲哀も呼び起こされた。

特殊詐欺事件が瞬間的に重なったりと、現実の社会問題を匂わせるところも怖い。
その意味で切迫感の薄い子供たちには、無意識レベルで定着してほしい物語かも。寓話的にうまく計算された構成。

この短評にはネタバレを含んでいます
くれい響

東野圭吾テイストで攻める「罪と罰」

くれい響 評価: ★★★★★ ★★★★★

ゆるかわキャラとは裏腹に、シニカルでエッジの効いた日常系アニメの映画化だが、今回は映画化前提に描かれた原作「セイレーン」編。それだけに、人魚伝説×『ウィッカーマン』『ミッドサマー』系譜の田舎ホラーを軸に、かなり計算された構成で攻めてくる。息を呑むほどの静寂に、原作からの脚色がけたたましい終盤のパーティチューンなど、劇場でしか味わえない音響設計に、シーンごとに歌詞の意味が違って聴こえる「今日の日はさようなら」。そして、フジテレビの十八番といえる東野圭吾テイストな「罪と罰」といえる“事の真相”の演出。エンドロール後までラストカットまで、トラウマ必至の一本である。

この短評にはネタバレを含んでいます
大山くまお

ちいさくて可愛いだけの作品ではない

大山くまお 評価: ★★★★★ ★★★★★

子ども向きと侮るなかれ。原作を知らない大人でも十分楽しめる。島を訪れた主人公たちが冒険を繰り広げる物語だが、不穏なムードと楽しいムードの出し入れが絶妙。シンプルなキャラクターにも関わらず、濃密な作画とリッチな音楽で、大画面でもまったく見劣りしない。セリフを発しないキャラクターが多いため、ノンバーバルの演出に力が入っており、言葉に頼らなくても物語に引き込まれていく。物語のテーマは「命」と「罪」だろうか。どんなに小さくて弱くて善良な存在でも、エゴはあるし、罪を犯すこともある。現代の日本はそんな人がほとんどだろう。クレジット後のラストシーンを見逃さないように。

この短評にはネタバレを含んでいます
ADVERTISEMENT

人気の記事

ADVERTISEMENT

人気の動画

ADVERTISEMENT

最新の映画短評

ADVERTISEMENT