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プロミスト・ランド (2012):映画短評

プロミスト・ランド (2012)

2014年8月22日公開 106分

プロミスト・ランド
(C) 2012 Focus Features LLC. All Rights Reserved.

ライター5人の平均評価: ★★★★★ ★★★★★ 3.2

ミルクマン斉藤

どうせなら『GERRY』くらい振り切ってるほうが。

ミルクマン斉藤 評価: ★★★★★ ★★★★★

ヴァン・サントとデイモン。この二人が組んだ『グッド・ウィル・ハンティング』は、両者が抱え持つ個人的なるものと大衆的なるものとがいい塩梅で結び付いた傑作といっていいと思うが(ま、今となるとB.アフレックの素養も大きいか)、これはいささか鼻につく。「個人vs社会」というリベラルぽい立場を取る二人だけに、物語の結末が数十分で見えてしまう(少なくともいくつかの選択肢の中には必ず入る)。いや、別に見えてしまったっていいのだが、それをいかにもどんでん返し的に示されても困ってしまうばかりだ。安易すぎるラスト含め「ニューシネマ時代のハリウッド映画」を想わせるという点で憎めない作品ではあるが、平凡。

この短評にはネタバレを含んでいます
森 直人

生真面目なマット、美意識のガス

森 直人 評価: ★★★★★ ★★★★★

「エリート嫌いのエリート出身者」――マット・デイモンの思考のフレームを一言で表すとそんな感じ。元CIAの一匹狼J・ボーンも然りだが、数学の天才の清掃員を描いた脚本作『グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち』がまさに典型。

今作も「環境 VS 経済」という“別個の正義”を対峙させつつ、大手保守に一石を投じる構造が『グッド・ウィル~』によく似ている。

そんな生真面目な脚本を、ガス・ヴァン・サントは簡潔&美的に仕上げる。映画タイトルはB・スプリングスティーンの曲名が元ネタか?と思うが、ガスが使ったのはL.A.出身の新進デュオ、ザ・ミルク・カートン・キッズの楽曲。インディーズ魂とセンスの良さが光る。

この短評にはネタバレを含んでいます
相馬 学

社会派に偏らない、バランスの良い人間ドラマ

相馬 学 評価: ★★★★★ ★★★★★

 シェールガス開発によって、農地は不毛の地と化す。土地が死ぬという現実はショッキングではあるか、本作の良さはそれを社会派映画のフォーマットに押しこめないところにある。

 主人公はガス会社の手先で悪役にもなりうるところだが、そこはマット・デイモン、『幸せへのキセキ』のような温かい人間性も表現。物語自体も主人公の心の軌跡にフォーカスし、彼を罰したり、必要以上に共感を寄せたりしない。そのバランス感覚に人間ドラマの秀逸さを感じる。

 共演のフランシス・マクドーマンドもイイ味を出しているが、ハル・ホルブルックらベテラン勢が田舎の人間の“顔”になりきっている点も高ポイント。イイ面構えがそろった。

この短評にはネタバレを含んでいます
山縣みどり

土地を所有することの責任と痛みについて考えた

山縣みどり 評価: ★★★★★ ★★★★★

アメリカ移民にとってホームステッド法は夢の実現だった。手に入れた土地で農業を営み(または油田を掘り当てて)、末代まで幸せに暮らすはずだったが、今や農業では生計が立てられず無価値な土地にしがみつく農民だらけ。苦い現状を見て育った青年スティーヴが天然ガス開発で田舎町を救済したいと思う心情は理解できるし、掘削による土地汚染を指摘するインテリ老人の言葉にもうなずける。見ているうちに「私だったらどうする?」と自問自答するし、土地を所有するとは一族の地所を守るだけでなく、環境を守る責任も伴うと痛感。天然ガスを原発に置き換えても然り。でもワラにもすがりたい農民の痛みも伝わってきて、実に切ないのであった。

この短評にはネタバレを含んでいます
平沢 薫

環境保護ドラマではなく、"信念"についての物語

平沢 薫 評価: ★★★★★ ★★★★★

これは、"信念"についての物語だ。自分が許容できるものは何で、譲歩できないものは何なのか。主人公が直面する問いは、彼の信念を巡るもの。環境保護や土地開発についての是非ではない。彼も、彼の仕事のパートナーも、彼が田舎町で出会う人々も、それぞれに自分が捨てられないものを選びとる。

そんな人々の背後で、常に画面の大部分を占めているアメリカの農園地帯の雄大な風景が、もうひとりの主要登場人物。撮影はスウェーデン出身、「シェルター」「アメリカン・ハッスル」のリヌス・サンドグレン。80年代のコダクロームの質感を意識して自然光で撮られた広大な緑の大地が、人間たちのそれぞれの選択を、静かに見ている。

この短評にはネタバレを含んでいます
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