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THE CAVE(ザ・ケイブ) サッカー少年救出までの18日間 (2019):映画短評

THE CAVE(ザ・ケイブ) サッカー少年救出までの18日間 (2019)

2020年11月13日公開 104分

THE CAVE(ザ・ケイブ) サッカー少年救出までの18日間
(C) Copyright 2019 E Stars Films / De Warrenne Pictures Co.Ltd. All Rights Reserved.

ライター5人の平均評価: ★★★★★ ★★★★★ 3.4

なかざわひでゆき

実際の当事者を起用して再現されるタイ洞窟遭難事故の真実

なかざわひでゆき 評価: ★★★★★ ★★★★★

 洞窟に入ったサッカーチームの少年たちが、豪雨による急激な水位上昇で外へ出られなくなってしまう。2018年にタイで起きた洞窟遭難事故は日本でも大きく報道されたので、恐らく記憶に残っているという人も多いことだろう。本作はその救出劇の一部始終をドキュメンタリータッチで再現しているわけだが、実際に救助活動に当たった人々や地元住民たちが大挙して出演している。これは一か八かの賭けみたいなもので、メインキャストに素人を起用するのは大きなリスクだと思うのだが、本作の場合は当事者たちが驚くほどの芸達者で、文字通り密着取材映像を見ているかのようなリアリティを生むことに成功している。

この短評にはネタバレを含んでいます
相馬 学

リアルに徹しつつ、エモく着地!

相馬 学 評価: ★★★★★ ★★★★★

 エモーショナルに振れることの多いタイ映画だけに、この記憶に新しい有名な実話をどう料理するのか興味があったが、リアリティに徹していることに驚き。ドキュメンタリーのような臨場感に引き込まれる。

 とりわけ救助チーム内の編成に至るまでのゴタゴタが興味深く、タイ軍から米軍、外国人洞窟ドライバーたち、民間の排水パイプ業者まで、お役所的システム下で、それぞれの希望が通らないまま時間が過ぎる描写がスリルを加速させる。

 とはいえ集まってきた人々の“子どもたちを救いたい”という気持ちは一緒。そんな思いが一体となっていくクライマックスに、結末を知っていてもアツくなる。一見ドライながらしっかりエモい。巧い。

この短評にはネタバレを含んでいます
山縣みどり

救出劇の舞台裏にちょっとびっくり

山縣みどり 評価: ★★★★★ ★★★★★

水没した洞窟に閉じ込められた少年たちの救出劇をリクリエイトした再現ドラマだが、報道されなかったエピソードが興味深い。救出に当たったケイブ・ダイバーやタイ海軍の活躍だけでなく、ボランティアたちの群像劇はタイらしさを感じるものが多い。支援を申し出た排水ポンプ製造者のために王室関係者が官僚主義を易々と打破し、お坊さんが祈祷する。宝くじ売りまで出現し、現場がお祭り騒ぎのようになるのには唖然。日本人なので不謹慎とも思うが、タイでは普通のことなのか? ユニークだ。結果は世界中が知っているので救出自体にスリルがないとはいえ、当事者が感じたプレッシャーは十分伝わってくる作品だ。ダイバー本人の出演も効果的。

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くれい響

報道されなかったダイバーによる救出リレー

くれい響 評価: ★★★★★ ★★★★★

日本では当時、一切報道されていなかった世界的ダイバーによる救出リレーと犠牲者も描かれるだけでなく、『15時17分、パリ行き』ばりに事故の当事者も多数出演。アントニオ・バンデラス主演で映画化した『チリ33人 希望の軌跡』との差別化というべきか、明らかにポール・グリーングラス監督作を狙ったかと思われ、手持ちカメラによる映像と細かいカット割が延々と続く。仰々しい音楽とともに感じる、妙な勢いと大作感は評価したいが、トム・ウォーラー監督の演出があまりに凡庸なためか、グリーングラス監督作のように、そこからのドラマは一切生まれず。緊迫感もカタルシスにも欠ける結果となってしまった。

この短評にはネタバレを含んでいます
平沢 薫

事件自体ではなく、その周囲の光景を描き出す

平沢 薫 評価: ★★★★★ ★★★★★

 2018年に起きた有名な事件の映画化だが、洞窟内で必死にサバイバルする少年たちを描くのではなく、事件の周囲にはどんな人たちがいて、その周囲で何が起きていたのかを、まるでそこに居合わせているかのようなリアルなタッチで描くユニークな1作。
 彼らを救出しようとしたのは公共機関の人々だけではなく、ではどんな人々だったのか。救出活動は迅速に進まず、それにはどんな理由があったのか。現場の周囲には、祈る宗教者たちもいれば、生存者のために踊りを捧げる人々も、救出作業のために被害を受ける人々もいる。漠然と知った気になっていた事件が、予想しなかったさまざまな光景を出現させて目が離せなくなる。

この短評にはネタバレを含んでいます
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