ADVERTISEMENT
小学生には助言・指導が必要

ブゴニア (2025):映画短評

2026年2月13日公開 118分

ブゴニア
(C) 2025 FOCUS FEATURES LLC.

ライター8人の平均評価: ★★★★★ ★★★★★ 4.8

くれい響

オリジナル崇拝者も納得の出来栄え

くれい響 評価: ★★★★★ ★★★★★

アリ・アスター主導で始まった『地球を守れ!』リメイク企画に、ヨルゴス・ランティモスが乗っかるという「悪魔合体」のような映画。オリジナルから23年の年月を感じるどころか、陰謀論のトンデモ設定がより現実的な恐ろしさに、世間の流れ的にシン・ハギュンが演じた加害者役を演じてもおかしくないエマ・ストーンの捨て身の演技が絡み合い、とんでもない空気感を生み出している。ラストに関しても、ザッツ・ハリウッドな脚色になっておらず、オリジナル崇拝者も納得の出来栄え。しかも、ロビー・ライアンによるダイナミックなカメラワークなどから、しっかりランティモス監督作として着地している。

この短評にはネタバレを含んでいます
相馬 学

アルマゲドンよ、早く来い!

相馬 学 評価: ★★★★★ ★★★★★

 ランティモス監督はこれまでも人間の愚を戯画化してきたが、本作はある意味、その究極形態。

 貧しい陰謀論者と大企業の女性CEOという、接点のなさそうな両者の人生を誘拐というかたちで交わらせて、社会を覗かせる妙。ヘンな人vs宇宙人かもしれない人という構図から環境や格差の問題が見えてきて、何年経ってもそれを解決できないことへの諦念にも似た毒気が匂い立つ。

 笑える場面と凍り付く場面の振り幅は、これまでのランティモス作品の中でも大きい。好き嫌いは分かれそうだが、個人的には断然肯定。世間や世界の現在の在り方にゲンナリしている人間には激しく刺さるかも!?

この短評にはネタバレを含んでいます
平沢 薫

幾つもの層が重なる物語が魅了する

平沢 薫 評価: ★★★★★ ★★★★★

 ストーリーはある程度、誰もが思う通りに進むのだが、次第に一筋縄では行かない、幾つもの層を持つ物語だということが分かってくる。登場人物たちの背景は、少しずつ明かされていき、世界の見え方が変わっていく。人間性というものを描き、その愚かさも描きつつ、それを断罪せず、むしろ肯定するようにも見える。エンディング近くに出現する光景が強烈。エンドクレジットの背後に聞こえる音に、耳を澄まさずにはいられない。

 ジェシー・プレモンスの演技がまさに圧倒的。監督が『女王陛下のお気に入り』から組むロビー・ライアンの撮影が今回も端正。『哀れなるものたち』からのイェルスキン・フェンドリックスの音楽が今回も際立つ。

この短評にはネタバレを含んでいます
猿渡 由紀

個性派3人のテイストが理想的な形で合わさった

猿渡 由紀 評価: ★★★★★ ★★★★★

韓国映画「地球を守れ!」をリメイクしたらと勧めたのはアリ・アスター。「ザ・メニュー」「メディア王〜華麗なる一族」でも歯切れの良さとダークなユーモアのセンスを見せた脚本家ウィル・トレイシーは、パンデミックで陰謀説が飛び交っていたアメリカの「今」をとらえつつ、ランティモスにひと味違った素材を提供してみせた。個性派3人の良さが理想的に合わさったと言える。そこにいつもながら恐れを知らず飛び込んでいくストーン(坊主頭にすることにも抵抗ゼロだったとか)、ますます役者として磨きがかかるプレモンスが加わった。演技は初の助演俳優デルビスもとても良い。「まさか」と驚かせつつ妙に納得させるラストも最高。

この短評にはネタバレを含んでいます
なかざわひでゆき

現代社会の混沌をランティモス監督らしからぬ分かりやすさで描く

なかざわひでゆき 評価: ★★★★★ ★★★★★

 地球はエイリアンによって占領されており、人類は知らぬ間に奴らの奴隷にされている!そんな荒唐無稽な陰謀論を本気で信じるアメリカの田舎のレッドネック男2人組が、あいつはエイリアンの仲間だ!と睨んだアグリカルチャー企業の意識高い系な女性CEOを拉致・監禁し、人類をエイリアンの支配から本気で救おうとする。ヨルゴス・ランティモス監督にしては意外なほど分かりやすい作品だが、しかし幾重にも皮肉と捻りを効かせたシュールなユーモアには「らしさ」を感じるだろう。浮かび上がるのは今の世界を取り巻く狂気と混沌と悲劇。もはや悪趣味なジョークでしかないオチには、愚かな人類への諦めのようなものすら感じられる。

この短評にはネタバレを含んでいます
村松 健太郎

今のヨルゴス・ランティモスは誰も止められない

村松 健太郎 評価: ★★★★★ ★★★★★

目下、誰も止められないという勢いを感じるヨルゴス・ランティモス最新作。主演またしてもエマ・ストーンでよっぽど息が合うのだろう。原作は何とマニアックな韓国映画というからどういうアンテナの張り方をしているのかよくよく聞いてみたい。クライマックスまでは徹底して空回りする二者の言い分を見続けることになる。舞台に近いような感さえある作りになっているが、クライマックスはびっくりするような着地の仕方をするので、観客には素直に驚いて欲しいところ。笑っていいのかいけないのかどっちにしても非常に複雑な感情になる一本。

この短評にはネタバレを含んでいます
斉藤 博昭

この監督では最も素直に楽しめた。露悪と映画的興奮のベスト融合

斉藤 博昭 評価: ★★★★★ ★★★★★

オスカー常連となり、すっかり“巨匠”扱いのランティモス監督だが、その語り口は高尚に見せかけたテーマを超変化球で描いたり“とっつきにくさ”も一流。わかったフリして絶賛してた人も多いのでは? しかし今回は違った! 一流企業トップをエイリアンと信じて誘拐する男たちの狂信と露悪が入り混じる行為を、まんま提示し、物語に置いていかれることもない。ヨルゴスとは初タッグの脚本ウィル・トレイシーの功績も大きいかと。
音や残酷描写によるショック演出も作品に適合。一方で露悪アクションをロングショットで見せるなど、品の良さは最低限キープされ、不快感は意外に少ない。俳優陣ではジェシー・プレモンスの常軌の逸し方が天才的。

この短評にはネタバレを含んでいます
森 直人

ハイセンスな悪趣味コントがたまらん!

森 直人 評価: ★★★★★ ★★★★★

韓国カルトSF『地球を守れ!』を下敷きにして、ランティモス監督が最もジャンル映画に接近。権力ゲームの様相はこの監督らしいが、J・プレモンスとE・ストーンの屁理屈合戦=台詞の応酬は『異端者の家』ばりの面白さ。ほぼ密室劇なのにビスタビジョンを採用したR・ライアンの撮影は超ゴージャス。それがB級なキッチュ感のエグみと合わさった珍味が絶品。エンドクレジットまで隙なく凝らされたデザインには悶絶!

風刺の質は『エディントンへようこそ』に近いかも。エコーチェンバー現象で凝り固まった陰謀論者 vs 環境破壊をもたらすグローバル企業CEOの分断が基本線で、やがて視座が高次に上昇する。星新一や筒井康隆っぽさも。

この短評にはネタバレを含んでいます
ADVERTISEMENT

人気の記事

人気の動画

最新の映画短評