シラート (2025):映画短評
ライター2人の平均評価: 5
内臓に響く世界とサウンドデザインの振動
凄まじき“体感“型。一見『マッドマックス/怒りのデス・ロード』のフォロワー風だが、監督のO・ラシェが向かうのは、あの快楽的カオスより、もっと深くエクストリームな“実験”だ。消えた娘を追う父と息子――『捜索者』の執念と、『眼には眼を』の砂漠の不条理。スピーカーから響く重低音が地平線を揺らす黙示録的な空間の中で、音と砂と光が我々の感覚を支配していく。
やがて旅は『恐怖の報酬』を思わせる極限の緊張に突入。レイヴの轟音は風景を侵食し、砂漠は現実と幻覚の境界を溶かす。苦痛すれすれの倒錯的なアクションとスリラーの快楽は、世界の果てに向かう儀式のようにも見える。この道の先にあるのは救済か、それとも終末か。
観終わってからしばし呆然とする
とてつもなく衝撃的。観終わってからしばらく呆然とし、ショックは数日間抜けない。ただし、冒頭にそんな雰囲気はなく、ひたすら音楽が流れて人々が踊り続けている。そこにいる人たちはとてもリアル。実際、娘を探しにやってきた父を演じるセルジ・ロペスと子役を除く主要キャストは、みんな演技の素人なのだ。何も考えず好きなことをやって生きている彼らがどのようなジャーニーを辿ることになるのか、観客には全く予測がつかない。音響部門でもオスカーに候補入りした通り、サウンドもムードに大きく貢献。必ずしもみんなに勧められる映画ではないかもしれないが、観るのであればビッグスクリーンで、ほかの人と体験を共有したい。























