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ザ・メニュー (2022) 映画短評

2022年11月18日公開 108分

ザ・メニュー
(C) 2022 20th Century Studios. All rights reserved.

ライター8人の平均評価: ★★★★★ ★★★★★ 4

森 直人

虚栄心まみれの「俗物図鑑」をエグさ満点で!

森 直人 評価: ★★★★★ ★★★★★

Netflix『シェフのテーブル』とブニュエル『皆殺しの天使』を下地に、こってり刺激的な味付けを施した「最高級」ならぬ絶品B級グルメの快作。無理難題のトンチメニューが出てくる美食ドラマから、ブルジョワ風刺の苛烈な笑いを利かせた監禁ホラーに展開。この料理をアートやファッションに変換するとリューベン・オストルンドの世界になるが、アダム・マッケイ(製作)ら『メディア王~華麗なる一族~』チームはジャンル映画の娯楽精神に則った。

カルト集団の教祖的シェフを意気揚々と演じるレイフ・ファインズは英国演劇仕込みの長台詞で戦慄させ、『羊たちの沈黙』のレクター博士ばり。アニャ・テイラー=ジョイにはますます注目!

この短評にはネタバレを含んでいます
なかざわひでゆき

社会の分断を風刺した狂気のフルコース

なかざわひでゆき 評価: ★★★★★ ★★★★★

 予約の取れない無人島の高級レストランへ招待された各界のセレブたち。ここにいる私たちは選ばれし存在。そこらの平民とはわけが違う。そんなスノッブな人々が有名シェフの芸術的なグルメ料理に舌鼓を打つわけだが、しかし自分たちが招かれた本当の理由を知って戦慄する。いわば、サービスをする側(労働者階級)とサービスを受ける側(特権階級)の関係性に階級社会の搾取構造を投影した残酷な風刺サスペンス。金や地位があるだけで物の価値など分からない、労働者を利用するだけで敬意もなにも持たない。そんな上級市民に対する復讐劇なのだが、そこへ全く場違いな客が紛れ込むことで、分断に物申す視点を持ち込んだところが実に巧い。

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相馬 学

美食!?ふざけんな!……の、奇怪と痛快

相馬 学 評価: ★★★★★ ★★★★★

 アダム・マッケイ印も納得の風刺劇。コメディとスリラーというスパイスがピリッと効いており、夢中になって見てしまった。

 ベースはグルメカルチャーに対する痛烈な皮肉。至高と思われた天才シェフの料理が、コースが進むほど歪み出す展開はもちろん、流血のバイオレンスもまたスリリング。一方で、N・ホルトふんするグルメオタの描写や、給仕チームのやり過ぎ感が笑いをとる。

 しかし本作のもっともおいしいキャラはヒロイン、マーゴだろう。美食という権威に反逆するシェフの暴走に、やはり反逆心で立ち向かう凛々しさ。招かれざる不穏分子を体現した、A・テイラー=ジョイのオトコマエな姿に惚れる!

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猿渡 由紀

はちゃめちゃな中にも社会への強烈な皮肉が

猿渡 由紀 評価: ★★★★★ ★★★★★

とにかくとんでもない映画。まさかこんな映画だとは予想もしなかった。だが、展開がはちゃめちゃなのに映画自体がそうなっていないのは、キャラクターがしっかりと書かれていることと、役者たちが上手いから。とりわけ光るのはレイフ・ファインズ。こんなクレイジーな役も、彼がとても細かいニュアンスを持って演じるおかげで、奇妙にも共感できるのだ。映画には、持てる者たちの傲慢、気取ったレストランやグルメたちに対する強烈な皮肉も。監督のマーク・マイロッドは、やはり嫌な人だらけの金持ち家族をシニカルに描くドラマ「メディア王〜華麗なる一族〜」も手がけた人。好き嫌いは分かれるだろうが、心に残るのは間違いない。

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くれい響

注文の多すぎる料理店

くれい響 評価: ★★★★★ ★★★★★

「注文の多い料理店」に訪れた12人の客たちに襲い掛かる災難。孤島が舞台のクローズド・サークルという点では、明らかに「そして誰もいなくなった」だ。それだけに、クセスゴキャラを期待してしまうが、狂言回しとなるニコラス・ホルトや落ち目な俳優役のジョン・レグイザモ以外は、かなり既視感アリ。“招かざる客”のアニャ・テイラー=ジョイがキーパーソンとなるのだが、かなり早い段階でオチが読めてしまうのもいかがなものか。劇伴などからも、作り手が『コックと泥棒、その妻と愛人』を意識しているのは分かるが、緊張感やグロ描写なども遠く及ばず。なんだかんだ映えるチーズバーガーに、★おまけ。

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斉藤 博昭

斬新メニュー+目を疑う衝撃展開の恐るべきマリアージュ

斉藤 博昭 評価: ★★★★★ ★★★★★

予約がほとんど取れない孤島の隠れ家レストランで、どんなメニューが出てくるのか。グルメムービーとして期待が高まりながら、邪悪な何かを抱えたような言動の給仕長が、いきなり観ているこちらの心をざわめかせ始め、冒頭からテンション急上昇!
選ばれし客たちの化けの皮が剥がれる人間ドラマに、謎めいた人物の本当の姿がスリリングに重なり、導入部から中盤までは誰もが前のめりで楽しめるはず。終盤は好き/嫌いが分かれそうだが、前半の波に乗せられ激走でゴールテープを切る感覚を味わえるのでは?
閉ざされた空間で描くアガサ・クリスティーのミステリーと、韓国のある人気ドラマをミックスしたような、まさにマリアージュ的な野心作。

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平沢 薫

どのジャンルにも収まりにくいのが監督&製作コンビの持ち味

平沢 薫 評価: ★★★★★ ★★★★★

 かなり後半になるまで、ストーリーがどこに向かうのか、どのジャンルに収まるのか、なかなか見定められないのが本作のオイシイところ。それが少しずつ見えてきて、すると、それまでのビジュアルに仕掛けられていた意図にも気づかされ、だからあのように描かれていたのかという発見がある。クライマックスのビジュアルもインパクトあり。
 基本は、生物であることから道を踏み外してしまった現代の人類の物語。なので分かりやすく"美食"がモチーフ。それをただのブラック・コメディにしないのが、TV「メディア王 華麗なる一族」のマーク・マイロッド監督、『マネー・ショート 華麗なる大作戦』のアダム・マッケイ製作のテイストだろう。

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村松 健太郎

レイフ・ファインズ劇場

村松 健太郎 評価: ★★★★★ ★★★★★

登場シーンのほとんどが厨房をバックに招待席に向かって語り掛けるものということもあって、レイフ・ファインズの一人芝居を見ているような気持になる一本。空間がシンメトリーになっているのはかなり意識された部分だと思いますが、そういうところも舞台を想像させます。そういう設定のお話であればレイフ・ファインズが活きないわけがなく、素晴らしいカリスマ性を感じさせてくれます。これに対するのがアニャ・テイラー=ジョイ。出演作品に一本もハズレがない状態の彼女ですが”いずれはオスカーも!”と感じさせてくれます。ニコラス・ホルトのマニアぶりには物事が好きなことの功罪を感じました。

この短評にはネタバレを含んでいます
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