シネマトゥデイが選ぶ映画ベスト20(2019年)

 2019年に日本で公開されたすべての映画から、今年もシネマトゥデイ編集部がベスト20作品を決定! 大ヒット作から知る人ぞ知る名作まで、多種多様な映画を厳選しました。

第1位 『ジョーカー』

 コメディアンを夢見る孤独な男が、狂気の犯罪者へと変貌していくピカレスクロマン。しかしその内容は、悪のカリスマを追う痛快劇ではない。富裕層が富を独占する一方で公共サービスはストップし、絶望的に格差が広がっていく世界で、主人公のアーサーは、言いようのない怒りを溜め込んでいく。彼が生きる腐敗したゴッサムシティの姿は、まさに現代社会を写す鏡だ。アメコミ映画として異例ともいえる大ヒットは、多くの観客が「誰もがジョーカーになりうる」とアーサーに共感した結果ではないか。格差の拡大が叫ばれる現代を象徴する、まさに今年の一本。アーサーの複雑な感情を表現したホアキン・フェニックスの名演も見事。徹底した減量により骨と皮だけになった肉体の迫力は、アクションスターの筋肉に勝るとも劣らない。

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第2位 『ロケットマン』

 音楽界の現役トップスターであるエルトン・ジョンの成功、挫折、復活に至る半生を描いた伝記映画。愛に飢えた幼少期を過ごし、その思いを音楽にぶつけることでスターに登りつめたエルトンの人生が切なく描かれる。デクスター・フレッチャー監督は、単にスターの苦悩と葛藤を描くだけでなく、その表現の一つにファンタジックなミュージカルシーンを加えることで、エンターテイメント性も兼ね備えた高揚感のある作品に仕上げている。エルトンにふんしたタロン・エジャトンが歌うエルトンの名曲が、ストーリーテリングの役割を果たすという演出も効果的で、改めてエルトン・ジョンという才能に酔いしれることができる。

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第3位 『スパイダーマン:スパイダーバース』

 時空の歪みによって多次元に存在していたスパイダーマンたちが集結することになったニューヨークを舞台に、突然スパイダーマンの力を得た黒人少年マイルスの成長を描いたアニメーション映画。CGアニメーションと手描きの手法を融合させた革新的な映像表現は唯一無二で、ビビッドなビジュアル&カット割りはアメコミ的でありその美しさはアートの域。第91回アカデミー賞では、圧倒的強さのディズニーを抑えて長編アニメ映画賞にも輝いた。本作で描かれるマイルスの成長譚はスパイダーマンのスピリットそのものであり、“スパイダーマン映画史上最高傑作”の看板に偽りなしだ。

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第4位 『マリッジ・ストーリー』

 離婚を決意した、舞台演出家の夫と女優の妻による結婚の物語。円満な協議離婚を望んでいたはずの二人が弁護士の介入により、文字通りのバトルへと突入していく過程を、夫婦役のスカーレット・ヨハンソンアダム・ドライヴァーが熱演。そんな二人の事情に翻弄される幼い息子の表情は痛切さに満ちている。コメディーとして笑いの要素も盛り込みつつ、深みにハマっていく関係を怒涛の会話劇で余念なく描くノア・バームバック監督の演出が光る。結婚(離婚)というライフイベントだけでなく、どんな人間関係にも訪れる困難さとして味わうことができるはずだ。

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第5位 『アベンジャーズ/エンドゲーム』

 『アイアンマン』から始まったマーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)の集大成を飾る作品。再起を懸けるヒーローたちの姿、MCU10年の歴史、スペクタクルな戦闘シーンを3時間2分で描き切ったアンソニー&ジョー・ルッソ監督の手腕は称賛に値する。主役ヒーローが一堂に会し、どのヒーローにも最大限の活躍をさせるなど、映画史に残るクライマックスの戦闘シーンの演出は計算され尽くしている。それでいて、感情に訴えかけてくる物語の繊細さ。このスケールでこれほどの物語は今後なかなか作ることは難しいだろう。『アバター』を抜いて世界興収歴代1位に躍り出たことも納得がいく完成度の高さで、まさに“MCUの真骨頂”と呼ぶべき一本となった。

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第6位 『アイリッシュマン』

 ロバート・デ・ニーロアル・パチーノジョー・ぺシ、そして監督のマーティン・スコセッシ、全員75歳以上。にもかかわらず、全編にみなぎる熱量に圧倒される約3時間半の大作。代表作『グッドフェローズ』と同様、暴力描写を容赦なく盛り込み、男たちの絆と裏切りの濃密なドラマを描いた。『タクシードライバー』をはじめ幾度となくコンビを組んできたスコセッシがキャリア集大成ともいえる満身の力で映し出すデ・ニーロの凄味は、やはり格別だと再認識。度々映像化されてきた全米トラック運転手組合のリーダー、ジミー・ホッファにふんしたアル・パチーノは哀愁たっぷり。

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第7位 『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』

 42年にわたる『スターウォーズ』の壮大なサーガに終止符を打つ作品。『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』のJ・J・エイブラムス監督が、新三部作を引っ張るレイたちやスカイウォーカーの物語の終着点、そして全9作品の感動的なフィナーレを丁寧に描き上げた。また、レイアやランド・カルリジアンといった旧作の登場人物のラストにも最高のカタルシスを得られ、シリーズと共に歩んできた観客も納得のいく内容となった。これまでの『スター・ウォーズ』がそうであったように、本作も後世に語り継がれていくことだろう。

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第8位 『ブラインドスポッティング』

 同じ場所・環境・価値観で育った親友同士ながら一人は黒人で一人は白人であったために、二人が見ていた世界は全くの別ものだったという“盲点(ブラインドスポット)”を可視化した本作は、人種問題を今までにない新しい視点で鮮やかに描いた映画といえる。鋭くもユーモラス、そしてラップまで駆使したストーリーテリングはオリジナリティにあふれ、友情物語としてもめちゃくちゃアツい。どんなことがあっても互いに向き合い続ける二人の姿が、この難題にどう取り組むべきか、そのヒントを示している。

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第9位 『男はつらいよ お帰り 寅さん』

 車寅次郎を演じた渥美清さんが1996年に亡くなったことでいったん幕を下ろした『男はつらいよ』が、シリーズ22年ぶりの新作としてスクリーンに帰ってきた。主人公・車寅次郎の甥・満男と初恋の相手・イズミの再会をきっかけに、登場人物たちの現在を過去作の名シーンとともに映し出す。シリーズ50作目という他に類を見ない国民的映画であることは、『男はつらいよ』を知らない人をふくめ、時を超えて日本人の心の琴線に触れる作品であることの証しでもある。第1作『男はつらいよ』が公開されたのは1969年。山田洋次監督の「50年かけて作った映画」という言葉の通り、少なくともあと50年はこんな映画ができあがることはない。

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第10位 『グリーンブック』

 舞台は黒人への差別が残る1960年代のアメリカ。南部に演奏ツアーに出かけるアフリカ系ピアニストと、彼に雇われたイタリア系の運転手によるロードムービー。育った環境も価値観も正反対の二人の人種を超えた友情が描かれる。理不尽な人種差別を目の当たりにしながら、互いへの理解を深めていく物語は感動的だ。ともすればあざとく描かれてしまいがちなこのテーマだが、ユーモアの見事なバランスが功を奏している。これまで『メリーに首ったけ』などを手掛けてきたピーター・ファレリーによる細部にまで散りばめられた笑いの数々のおかげで、ヴィゴ・モーテンセンマハーシャラ・アリのバディが完璧に仕上がっている。人種問題の闇だけはなく、希望を描こうという作り手の思いが伝わってくる作品だ。

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第11位 『キングダム』

 原泰久の大ヒット漫画を『GANTZ』シリーズなどの佐藤信介監督がメガホンを取り実写化。原作の持つ迫力を映画ならではのスケールで表現した。大きな話題を呼んだ山崎賢人吉沢亮長澤まさみ橋本環奈本郷奏多大沢たかおらスターキャストの熱演をふくめエンタメ性は満点の出来。大人気漫画の実写化とあり、期待と同じくらいあった不安の声をはねのけて、実写邦画ナンバーワンヒットを記録した。10キロ減量して主人公の少年役に挑み新境地を開いた山崎、真逆の2つの役を見事に演じ分けた吉沢の好演が光った一方、大沢、坂口拓ら経験を重ねた俳優たちが物語を支えるというバランスもよかった。続編製作への期待も大いにある。

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第12位 『岬の兄妹』

 「自閉症の妹に売春をさせて生活費を稼ぐ兄」と聞くと、誰もが眉をひそめるかもしれないが、その彼も足が不自由で無職。一日の食費にさえ困窮するリアルな貧困描写を目にすると何も言えなくなるはずだ。人が見たがらない社会の暗部をユーモラスかつシビアに描き切った38歳の新鋭・片山慎三監督は、ポン・ジュノ監督の助監督を務めた経歴の持ち主。「あなたならどうしますか?」と観客に疑問を投げかけるようなラストが苦い余韻を残し、彼らに同情することも思い上がりだと感じさせるほどタブーに踏み込んだ野心作だ。

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第13位 『翔んで埼玉』

 流行語大賞にノミネートされるほど世間にタイトルが浸透したコメディー。『テルマエ・ロマエ』シリーズの武内英樹監督が二階堂ふみGACKTをダブル主演に迎えて、「パタリロ!」作者の同名人気ギャグ漫画を映画化した。地域格差が生み出す優越感と劣等感という人間心理の深層に迫る普遍的テーマが、埼玉県民だけでなく全国、ひいては海外映画祭でも共感を呼び大ヒットにつながった。“埼玉ディスり映画”ではなく、あらゆる人々の郷土愛を想起させる人類愛を描いた作品。

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第14位 『新聞記者』

 現役新聞記者の著書を原案に、国家権力の闇に迫るサスペンス。政治や権力を題材にした社会派サスペンスながら、エンターテインメントとしての面白さを損なっていない演出が映画としての評価を上げている。真相究明に奔走する新聞記者役のシム・ウンギョン、仕事と良心の間で葛藤する若手官僚役の松坂桃李らの迫真の演技も見もの。今も実際に進行中のよく似た政治の問題に迫るセンシティブな内容を、日本で映画化したことは高く評価するべき。邦画の新しい未来を切り開いた作品。

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第15位 『存在のない子供たち』

 中東の貧民街で育ち、12歳にして「自分を生んだ罪」で両親を訴えた少年・ゼインの苦難を描いた人間ドラマ。戸籍もなく、学校にも行けずに労働を強いられる子供たちの物語は、監督のナディーン・ラバキーが約3年間にわたって取材した、不当な扱いを受ける子供たちの実態を反映した真実の描写でもある。ゼイン役のシリア難民、ゼイン・アル・ラフィーアをはじめ、役柄とよく似た境遇の子供たちを子役に起用。大人たちの愛情を受けずに育ったゼインが、幼くして結婚を強いられる妹や、他人の赤ちゃんに献身的な愛を注ぐ姿がひたすらに胸を打つ。法廷でゼインがぶつける怒りの訴えは、貧困にあえぐ子供たちが直面する問題を解決できず、原因を知ろうともしない、世界中の大人たちへのメッセージだ。

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第16位 『愛がなんだ』

 片思いの相手に過剰なほどのめり込む主人公の姿を通して「愛とは何か」を問いかける作品。好きな人に全力投球しすぎるヒロインを痛々しくもキュートに演じた岸井ゆきのは、昨年からの大躍進も納得の好演。恋に溺れていく女性の心境を濃密につづった角田光代の原作と、恋愛映画の旗手である今泉力哉監督の相性も抜群で、登場人物たちの心の距離感の描き方がリアルかつ鮮やか。恋が叶う望みなんてないけれど、諦めることもできないという恋愛心理描写の生々しさが女性を中心に多くの共感を呼び、口コミで大ヒットロングランを記録した今年を代表する恋愛映画だ。

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第17位 『女王陛下のお気に入り』

 『ロブスター』などのヨルゴス・ランティモス監督のセンスが光る本作は、18世紀初頭のイングランドを舞台にした宮廷ドラマ。アカデミー賞を受賞したアン女王役のオリヴィア・コールマンをはじめ、エマ・ストーンレイチェル・ワイズが繰り広げる演技合戦は圧巻。欲をむき出しにする姿は、醜くも笑えて、そして虚しくもある。また、広角レンズ使った撮影で、宮殿や王族のみならず空間の全体像を捉えることにより独特な違和感を作り上げ、印象深い作品に仕上がった。

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第18位 『シークレット・スーパースター』

 歌の才能がある少女インシアが、YouTubeやさまざまな手を駆使して歌手という夢に向かって突き進む姿を描くインドのサクセスストーリー。夢なんて叶わないと否定ばかりの父親への怒りと悲しみの感情をインシアが歌に昇華させる姿は、夢を追うすべての人の背中を押す。『きっと、うまくいく』のアーミル・カーン演じる落ち目の音楽プロデューサー、シャクティの強烈なキャラクターのおかげで、作品全体がシリアスになり過ぎず、エンタメ作品として楽しめる。

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第19位 『アラジン』

 ディズニーが1992年の名作アニメーションを実写化したファンタジー。ヒロインのジャスミンは愛する相手との結婚を夢見るだけでなく、自らの力で国を治めようと志す自立した女性として描かれ、時代にそぐわない部分はしっかりと現代風にアップデート。ウィル・スミスのジーニーもハマリ役で、実写版ジーニーとしてのキャラを確立。オリジナルの持つ良さはそのままに、実写ならではの面白さが詰まった作品として生まれ変わった。これぞまさに実写化の成功例。

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第20位 『天気の子』

 『君の名は。』で確固たる地位を築いた新海誠監督が3年ぶりに発表したアニメーション作品。「天気」という誰にとっても身近なテーマを扱い、現代を舞台に自らの生き方を選択する少年と少女の姿を描いた。進化した“新海ワールド”は街をさらに美しく表現し、ファンタジックな要素もスケールアップ。再びタッグを組んだRADWIMPSが奏でる映像とマッチした音楽は、映画館で体験するべき作品として多くのファンから支持された。メガヒット作の次の作品としてプレッシャーがかかる中、観客とコミュニケーションを取るためにあえて「賛否を生む物語を選択した」と語る新海監督は、これからも日本のアニメーション界の台風の目であり続けることだろう。

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