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ハムネット (2025):映画短評

2026年4月10日公開 126分

ハムネット
(C) 2025 FOCUS FEATURES LLC.

ライター5人の平均評価: ★★★★★ ★★★★★ 4.2

猿渡 由紀

クライマックスをどう受け止めるか

猿渡 由紀 評価: ★★★★★ ★★★★★

素人を使い、ロケ場所も当日に決めるようなドキュメンタリー的撮影をする、リアリティと自然な美しさ溢れる映画で才能を発揮したクロエ・ジャオ。小説の映画化である今作も、ラストは「ストーリーのほうから教えてくれるはず」と期待し、撮影中に思いついて大きく書き替えた。その非常にドラマチックなクライマックスに感動する人も多い一方、(私がひねくれているのかもしれないが)個人的にはやりすぎで不自然に感じた。また、全体的に非常にヘビーで、明るい気持ちになりたい時にはおすすめできない。とは言え、ジェシー・バックリーの演技は断然オスカー受賞にふさわしく、ポール・メスカル、ジャコビ・ジュープらもとても良い。

この短評にはネタバレを含んでいます
平沢 薫

舞台の上に森が出現する

平沢 薫 評価: ★★★★★ ★★★★★

 物語は、森から始まる。魔女と呼ばれた母を持つ女性は、最初から森と繋がっている。劇作家は彼女のそこに魅了されるが、いざ森の暗がりを覗きこむと、恐れのために踏み入ることができない。そのため彼は、舞台の上に森を出現させる。そして、その森で彼女と繋がる。映画は、シェイクスピアの舞台『ハムレット』がどのようにして生まれたのかを描きながら、同時にそういう物語も語る。

 物語の中心となる2人の感情の動きを描く筆致が、細やかでいて鮮烈。女性主人公が愛する人の後ろ姿を見つめて「振り向いて自分を見て欲しい」と強く念じると、相手が振り向き、2人の胸に暖かさが広がる。ジェシー・バックリーとポール・メスカルが巧演。

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斉藤 博昭

怒涛のクライマックスに慟哭せずにはいられない

斉藤 博昭 評価: ★★★★★ ★★★★★

ハヤブサを操る冒頭から神秘的でスピリチュアルなムードをまとい、どこか儚げな魅力も漂わせるジェシー・バックリーが、展開とともに内に秘めた深い思いを醸成させ、クライマックスの母性の慟哭的発露に、映画を観ていた者すべては動揺と感動の得も言われぬ感覚に溺れる。まさにオスカー演技。対するポール・メスカルの、舞台での経験が生きた朗々たるセリフ回しは比類なき才能。
一方でこの作品、深部で訴え続けるのは、男の身勝手さである。妻子のことは二の次で、家を離れ、執筆に勤しもうとする夫。妻だけが日常の負担を背負う。その悲哀を、あからさまでではなく静かに通底させる監督の節度は天才的。映像や美術の極上さは言うまでもない。

この短評にはネタバレを含んでいます
森 直人

「妻」による神話解体から、さらに一歩先へ

森 直人 評価: ★★★★★ ★★★★★

長編小説の映画化にありがちな要約感を感じさせない。原作の息づかいを丸ごと映像へと転写し、物語の生命力を過不足なく宿らせるC・ジャオ監督の手腕が見事だ。『恋におちたシェイクスピア』等が示してきたように歴史の中で“悪妻”として周縁化されてきたアグネスを中心に据え、彼女の孤独と直感、そして再誕の物語として立ち上げる。

主演のJ・バックリーは圧倒的な強度。シェイクスピアは家父長制の抑圧から弾かれた文化系青年――やがて喪失に震えるひとりの人間として描かれる。『ハムレット』が息子を喪った父の祈りとして再解釈され、家族の情愛の深さと“人生と芸術”を巡る思索が溢れ出す。減点を探すのが難しい完成度の高い一作。

この短評にはネタバレを含んでいます
村松 健太郎

発見が多い一本

村松 健太郎 評価: ★★★★★ ★★★★★

シェイクスピアの「ハムレット」の誕生の裏にあった悲喜劇を描いた一本で、シェイクスピアにそこまで詳しくない自分としては非常に発見が多い一本でした。映画としての見どころは何と言っても主演のジェシー・バックリーの演技でしょう。今年のアカデミー主演女優賞を獲得しましたが、それも納得な一本で、一気に主演格の存在として本格化した感があります。監督のクロエ・ジャオもやはりこのくらいの規模間の映画でこそ活きる人なのだと再認識できました。クライマックスの演劇シーンは、ホントに劇場を建て込んでやったこともあって強烈な印象を残しています。

この短評にはネタバレを含んでいます
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